裏話と注意点

 製造の現場で働いている外国人は少なく、飲食店のコックなどに多い「技能」の在留資格者ですが、原則として10年の経験が必要で、この10年の経歴を証明する書類が必要になります。

 海外にはこういった書類を偽造する会社が存在します。最初のうちは在留の許可が出ても、同じような申請データが入管に蓄積されることによって、疑いをもたれるようになります。例えば座席数が20の飲食店に同時期に20人のコックが居たということになれば、疑念を持たれ不許可となります。

ベトナムのアレコレ

 留学の在留資格には留学費用を賄う資力を証明する書類が必要になりますが、ベトナムでは銀行が残高証明書に本物のスタンプを押すので、偽造とも言い切れず、入管も苦慮していると聞きます。借金をしたお金を口座に移し、その口座の残高証明を取れば、理屈は合うのかなとは思いますが…。

 技能実習では日本で得た技能の海外移転の名目のため、日本での仕事と本国の仕事が合致することと、帰国後復職することが求められます。ベトナムでは入管へ提出する履歴書や在職証明等の書類を偽造する会社が存在します。書類が全部偽造だと断言はしませんが、他の国でも多いと思います。とりわけ短大や大学をを卒業後最初の仕事が技能実習の場合は100%大学や短大を卒業した経歴は消されます。実習を終えて帰国後技術者とした日本で働こうとしても、前回の申請時に学歴を消されているので、不許可のリスクが高まります。

 こういったことからベトナムの派遣会社が日本で働く技術者をベトナムで募集する際には、技能実習経験者が対象から外されることが多いようです。元技能実習生でも技術者の在留資格を得て日本で働いている人は居ますが、現地の派遣会社としては入国できないというリスクを避けたいのは当たり前でしょう。その結果面接時には日本語が全くできない人がやって来ることになります。そして入国までの間、合格者に日本語を教えます。面接は通訳を通すことになり、通訳次第?と思うのですが…。賄賂が当たり前のベトナムではこういった通訳者や担当者に賄賂を払う候補者が居るようです。お薦めはどの人か聞いて、担当者が答えるような会社は良い会社ではありません。良い派遣会社は推薦等はしないよう教育しています。

 ベトナム人技術者は結構な数の人が日本で働いています。「こんなに多く優秀な人が居るかな?」と入管が訝しがっているとの噂を聞いたこともあります。技能実習や留学も含め日本で働くということがベトナムではかなり大衆化しているように思います。検討されている「特定技能」の在留資格も転職は自由になりそうですし、技術者も転職は自由です。より優秀な人材をより長く雇用する方向へ移りつつあると感じています。

 単純作業ができないとされている技術者がどんな仕事をしているかと言うと、単純作業も結構こなしているのだろうと想像します。入管も…。実際単純作業、しかも学歴とは全く無関係な作業をしているベトナム人技術者から転職したいとの相談を受けたりもします。

雇用時の注意点
国外人材の採用

 海外在住の技術者等を雇用しようとするときは、良い現地の派遣会社(送出し機関)に依頼することが大事だと思います。管理組合経由にはなりますが、技能実習においても同じことです。また後述しているように、高額な手数料を支払っている技能実習生は、トラブルを日本に持ち込む危険が高いと考えています。また、紹介者やブローカーの言いなりに高額な費用を払う人材の質にも問題があると思います。技能実習の送出し機関は大概、技術者の紹介もしています。

 ベトナムの送出し機関は260程有りますが、そのうち200程がハノイとその近郊の北部にあり、残りの多くはホーチミン近郊の南部にあります。韓国では失踪者の多い地区は受入を停止していますが、全て北部です。契約期間が来ても30%が帰国してないというのですから、酷いですね。ニュースリンク

 ハノイにもご紹介できる立派な送り出し機関は有りますが、韓国ではそういった対応をするほど北部に失踪者が多いということは知っておいた方が良いと思います。また一般に南部の方が費用が安いようで、北部の人材が南部の送出し機関を利用するケースも増えていると聞いています。

失踪の原因は?

 失踪の原因と一言で言っても、その原因は色々あると思いますし、技能実習生の失踪を根絶することは無理だとは思います。

 実習生側のみに原因があると思われる失踪のケースとしては、彼氏や仲間にそそのかされてといったケースも有るでしょう。こういったケースでは会社に責任はないと思われますが、失踪であることに変わりは無く、失踪としてカウントされてしまうでしょう。

 技能実習生は現地で高額な借金をして日本に来ますから、期間中に借金を返せないことが分かった時や、期間満了直前に失踪するケースが多いと思います。韓国は詐欺や誣告が多いと聞きますから、誇大な求人票が出されているケースが日本より多く、その結果として多数の不法滞在者が生まれるのでは?と推測致します。現地の送出し機関への費用と日本での収入のアンバランス、告知の不正確さによって、失踪するケースが多いと思います。賃金や残業については誇大な表記は控えた方が賢明ですし、手数料の安い送り出し機関を選ぶ方が良いと思います。

技術者の失踪?

 「技術者・人文知識・国際業務」の在留資格については、転職の自由があります。ですからある日突然会社に来なくなっても、技能実習生の失踪とは意味合いが違います。転職の自由は検討されている「特定技能」にも認められる予定です。

 当りまえですが、外国人は地縁は有りませし、世間体も関係ありませんから、賃金の良し悪し等で動きやすいという点は注意が必要です。また異国で暮らす外国人が同郷の人と作るネットワークは想像を超えるものがあります。

 国内人材の採用

 既に国内に居る外国人を採用する場合は必ず在留カードを確認し、コピーを取るようにして下さい。在留カードの確認をしていれば最悪の事態だけは避けられると思います。

在留カードとは?

 日本に在留する中長期滞在者に与えられ、携帯が義務付けられる身分証です。中長期滞在者が対象の為、短期滞在者には発行されません。その為、観光や商談、親族や知人の訪問が目的の人には発行されません。したがって在留カードを持って居ない人材を雇用することは出来ません。在留カードを持って居ないことを知りながら、その者を雇用すると不法就労助長罪となる恐れがあります。

 まぁ不法就労をしようとする外国人は偽造の在留カードを持っていると思いますが。

何を確認するのか?

 では何を確認すれば良いか書きます。

先ずは写真と有効期限を確認

 在留カードには顔写真が有りますから、まずは本人の顔と見比べて下さい。その他に確認すべき項目は「在留資格」「就労制限の有無」「有効期限」です。「有効期限」については「有効期限」と言う項目はございませんが、一番下の欄にいつまで有効かが書いてあります。

 有効期限が切れた在留カードを提示された場合は、不法滞在の疑いがあります。良く事情を確認すべきです。悪意のある不法就労者がそんな下手な事をするとは思えませんが、期限の確認は大原則です。

就労制限の有無 1.就労制限なし

 次に見て頂きたいのは、就労制限の有無です。就労制限は3種類に分かれます。一番制約の少ない(無い)のが「就労制限なし」となります。就労制限なしですからどんな職務内容でも雇用することが可能です。そのため偽造の在留カードはこのカードで作られます。偽装カードについては後ほど触れます。

2.「在留資格に基づく就労活動のみ可」

 「就労ビザ」等と一般的に言われる在留資格につく条件がこの「在留資格に基づく就労活動のみ可」となります。国外に住む外国の方が就労の為の在留資格を得るための手続きについて簡単に触れたいと思います。日本の入管へ在留資格を認めてもらうための申請をします。許可が出るとその書類を添えて現地の大使館で「ビザ」の申請をすることになります。日本の入管で認められている訳ですから、現地では比較的簡単かつ短期間でビザが出ます。(入管でOKが出ても必ずビザが出るという訳ではありません)

 では就労ビザ取得の際に、入管でどういったことを審査するか簡単に説明しますと、大きく分けて三つあります。先ずは本人について、二つ目は受け入れる会社(個人)三つ目は雇用条件や職務内容など、本人の経歴とのマッチングとなります。本人についてのみ審査し在留を認定するものではないので、資格に基づく就労活動のみ可となります。

 この資格の方が応募してきた時の対処は、在留期間の残り等によって、対処が異なります。公に広言できない部分も有りますので、大事な事だけ二点あげますと、転職後の更新は新たな資格取得と変わりません。従って不許可で就労不可となる可能性がある点が一つ。二つ目は就労資格証明書と言うのが有るということ。この就労資格証明書を転職後に取得しておくと、更新時は普通の更新と変わりませんから、会社の財務状況等が特別悪くなっていない限り、更新されます。

3.「就労不可」

 留学生や技術者の家族はこの「就労不可」となります。アルバイトを募集するとこの就労不可の学生が応募してくることが有ります。その際は裏面を確認してください。裏面に「原則週28時間以内・風俗営業等を除く」と有れば、記載の範囲でアルバイトをさせることができます。

在留資格

 最後に在留資格の確認方法について触れてみます。在留資格自体は多数ありますが、一つ一つ覚える必要もないと思います。どういった就労ができるかは、就労制限の有無の欄をご確認頂ければと思います。

 一つだけ触れていない在留資格についてご説明致します。それは「特定活動」と呼ばれるもので、結構幅広く使われます。簡単に言うと在留資格「その他」です。外国人材採用の現場で出くわすのは、就職が決まらなかった留学生に与えられる「特定活動」です。入管が特定活動を認めるということは、就職先とその職務内容に問題が無ければ、就労資格を認めると言っているのと等しいです。日本の大学等で学んだことと、職務内容の関連で就職先が見つからないケースちょくちょく有ります。日本の大学を卒業した場合、この関連性を問わない方向で検討がされています。その際は年収で300万と言うのが要件になりそうです。

偽造在留カード

 最後に偽造在留カードについて少し触れます。収入を捕捉されないために留学生が二枚の在留カードを持つといった話を聞いたことが有ります。これは収入の多さから所定の時間を超えて就労したとの疑念を持たれ、資格の更新ができないことを防ぐためです。

 また本来在留カードが発行されない短期のビザで入国し、入国後偽造の在留カードを渡されるケースも有ります。この場合は「永住者」の在留資格で偽造するはずです。「永住者」はその先は帰化だけの一番有利な資格ですし、必ずしも血縁を要求されないので、ばれにくくも有ります。

 ですが「永住者」の資格を得るには原則日本に10年住んでいなければならず、それなりに日本語は出来るはずです。例外も有りますが、日本語が怪しい「永住者」が応募してきた場合は、永住者になった経緯を尋ねると良いと思います。

 中長期滞在の外国人は在留カードを基に住民票をつくりますから住民票と在留カードは辻褄の合ったものになります。おそらくパスポートも偽造されたものを持って居るでしょう。ですが、パスポートと在留カードの照合はしておいた方が良いと思います。そこまでしておけば最悪の事態にはならないと思いますが、時間も取られ楽しいことではないので、できれば未然に防ぎたいものです。

更新を忘れたら

 従業員の方が更新を忘れるといった事例もちょくちょくあります。その場合大きな会社なら人事部長が小さい会社なら社長が入管へ同行することをお薦め致します。トラブル対策はこちら